この講演では単位円板上の正規化された正則関数で条件
|f''/f'(z)|≦2λ/(1-|z|2)
を満たすようなクラスを考えて、それに対する増大度評価、係数評価などを与える。特にλ<1ならばこのクラスに属する函数は一様有界となり、λ=1の場合は有界でないものも存在する。ここでλが1/2以下ならば単葉になり単葉函数はλ=3のクラスに属することにも注意しておく。
また、後半ではいくつかの典型的な単葉函数の族についてこのλの上界を
具体的に与える。その際、subordinationのテクニックが重要となる。
{mf(x)}m の形で与えられる、1-パラメータ2次有理関数族の分岐図は、2次有理関数 f(x) の取り方により monotone またはnon-monotone となることが知られている。与えられた族 {mf(x)}m を、2次有理関数空間のモジュライ空間上の代数曲線として表現することにより、その分岐の過程を解析する。
境界を持つ有限型のリ−マン面 $R$ 上のベルトラミ−微分 $\mu_t$ で与えられる metric $|dz+\mu_td\bar{z}|$から定まる複素構造を持つ面を $R_t $とする, ここで $t$ は $0$ の近傍を動く複素パラメ−タ−で, $\mu_t$ は $t$ に関して解 析的に動き, $\mu_0=0$ としている。 $\mu_t$ の台はコンパクトでその補集合は連結とし, そこに点 {$p$} を任意にとる。 この点に関する $R_t$ 上のベルグマン核を $K_t=\hat{K}_tdz$, 即ち $R_t$ 上の 2乗可積分な正則微分 $\omega=\hat{\omega}dz$ に対して $(\omega,K_t) =\hat{\omega}(p)$ を満たしているとする。この状況で\log \hat{K}_t(p)は$t$に 関して一般には劣調和に動くがもしそれが調和ならば $R_t$はすべて等角同値となる。
同様のロバン定数に関する山口博史氏のrigidity theoremをこの擬等角変形の立場 から考える。
境界が2点以上を含む複素平面内の単連結領域で、領域内の任意の点が原点と β-対数螺旋で結べるようなものを β-螺旋状領域と呼び、単位円板からβ-螺旋状 領域への等角写像 f で 正規化条件 f(0)=f'(0)-1=0を満たすものを β-spiral-like 函数と呼ぶ。 本講演では β-spiral-like 函数全体での pre-Schwarz 微分のノルム の上限の値と、極値函数が β-spiral-Koebe 函数であることを証明する。 また、正規化された単位円盤上の等角写像全体の中で見たときの、spiral-like 函数の特徴なども述べたい。
曲面上の離散力学系の周期軌道の幾何学的特徴は,「組みひも」として表すことが できる.ここでは,軌道の組みひも型と系の力学系的複雑さの間の関連に関して, 現在までに得られている結果について総合報告を行う.両者の関連 の中心部分をなすものは,Thurstonによる写像類群の分類理論である.
Components and isolated points of the topological space $\Cal C(H^\infty)$ of composition operators on $H^\infty$ with topology induced by the operator norm are characterized. The topology of $\Cal C(H^\infty)$ turns out to be the same as the topological space of analytic self maps of the unit disk with topology induced in a natural way by the pseudo-hyperbolic (hyperbolic) metric. Compact differences of two composition operators are also characterized. With the aid of these results, we show that a component in $\Cal C(H^\infty)$ is not the set of all composition operators that differ from the given one by a compact operator.
終端 b 群(a terminal reguler b-gruop)G が次を満たすとする。
本講演では、これらの条件を満たす G について、Δ_G の補集合のユークリッド面積を 面 Δ_G /G の双曲的直径と G から自然に得られる、面 Δ_G /G の極大分割曲線系の 双曲的長さにより、下から評価する。
リーマン球面内の(3点以上を含む)集合Eの単位円板Δにおいてパラメトライズ されたholomorphic motionとは写像 F:E×Δ→P(リーマン球面)で次の条件を満たす ものとする。
これに対して次のことが知られている。(いわゆる lambda lemma)
リーマン面の退化を変形パラメーターが多変数の時に考えると、”分裂”とか ”融合”とか呼ばれる面白い現象が生ずる。すなわち複雑な退化ファイバーが 複数個の単純な退化ファイバーに変形を通して分解してしまうような事態をさす。 ここでは超楕円的リーマン面に対する上記問題への荒川達也氏との共同研究の 結果を紹介すると共に、退化ファイバー芽のある種の不変量、ホモトピカル モノドロミー、複素解析曲面との関連について言及する。
R. C. Penner 氏は論文 "The decorated Teichmuller space of punctured surfaces" に於て、cusp のある曲面上の decorate さ れたタイヒミュラー空間を胞体に分割しました。この分割は写像類 群の作用で変わらない様に成されていて、これは D. B. A. Epstein 氏との共著論文で構成された convex hull construction より定ま る双曲多様体の canonical decomposition から導かれます。 さて、 canonical decomposition の概念は小島定吉先生により、 全測地的な境界のある場合に拡張されました。そこで、この事と Penner 氏の手法とを合わせる事で、此度新たに境界のある compact な曲面上のタイヒミュラー空間の、写像類群の作用で不変な胞体 分割が得られました。この結果について講演します。
A fundamental problem in the theory of Kleinian groups is to understand the topology of the action of a Kleinian group on the Riemann sphere. We show that for some Kleinian groups, this action may be understood in terms of a simpler, geometrically finite action in the following sense: there exists a continuous map of the Riemann sphere to itself that semi-conjugates the geometrically finite action to the given Kleinian group action. We consider the following setting: let M and N be two homeomorphic hyperbolic 3-manifolds whose fundamental groups are freely indecomposable, and such that there is a positive lower bound on the injectivity radius at every point of M and N; assume also that M is geometrically finite. We show that there exists a homeomorphism from M to N whose lift to hyperbolic 3-space extends continuously to a semi-conjugacy from the action on the Riemann sphere of the fundamental group of M to that of the fundamental group of N. This map collapses each component of the domain of discontinuity of M corresponding to a degenerate end of N in a manner prescribed by the ending lamination of that end. This generalizes work of Cannon-Thurston and Minsky for surface groups.
We explain how the space $QF$ of quasifuchsian punctured torus groups can be studied in terms of the geometry of the boundary of the convex hull of the corresponding hyperbolic three manifolds. The space $QF$ is foliated by {\em pleating varieties}, that is the loci on which the projective class of the bending measure of each of the two components of the convex hull boundary is fixed. We show that it is possible to give a complete description of the position of these pleating varieties, and discuss how this enables one to compute an arbitrarily accurate picture of any embedding of $QF$ into ${\bf C}^2$.
単位円板上の正規化された単葉函数$f(z)=z+a_2z^2+\cdots$が、更に螺旋状条件を満たすとき、螺旋状函数と呼ばれる。本講演では螺旋状函数のプレシュワルツ微分のノルムの最良の評価を与える。
The Theorem of Dehn-Nielsen about homotopy on a closed orientable surface $S_g$ has the following grouptheoretical interpretation.
In the last years the properties of the element P ∈ F_{2g} as described in (1)-(4) were individually and independently taken as fundamental properties for the development of some grouptheoretical concepts (Turner (1); Comerford (1) + (4); Dold (4); Stallings (4); Brunner, Burns, Oates-Williams (2) + (3)); and corresponding to the numbers we define testelements (1), almost primitive elements (2), tame almost primitive elements (3) and generic elements (4). In this talk we give a survey about connections and new results concerning these concepts.
CP^1上の有理関数で出来た写像の合成を積とする半群を有理半群と呼ぶ。有限生成の有理半群に付随してskew productを作る。そのJulia集合、Fatou集合を射影すると半群のJulia集合を得る。 各重みに対し、skew productに関して“(後方)自己相似測度”を定義し、その一意性をある作用素の軌道の収束を示すことにより導く。半群の作用の不変量を考える意識から、skew productのエントロピーを考える。それは log(生成元の次数の和)で与えられ、最大エントロピー測度が一意に存在し、それがある重みの自己相似測度になることを示す。作用素の軌道の収束を示すところに、半群の元の逆の枝からなる族がJulia集合上で正規族になることに関するHinkkanen-Martinの結果などを用いる。
Let G be a family of functions analytic in a domain D in the complex plane.We prove that G is a normal family, provided that for each f ∈G, there exists k=k(f)>1 such that the the k-th iterate f^k has no weakly repulsive fix-point in D. In the proof, we use Marty's theorem and a lemma of Baker which is based on Ahlfors' theory of covering surfaces.
Abstract(AMS-TEX file):
\magnification=1200
\document
\head Hankel operators between Bergman spaces\endhead
Boundedness and compactness of little Hankel operators $h_f$ between different Bergman spaces $L_a^{p_1}$ and $L_a^{p_2}$ are characterized. For the case $1<p_1\le p_2,$ the characterizations involve $\alpha$-Bloch spaces and little $\alpha$-Bloch spaces, which are generalizations of the Bloch space $B$ and the little Bloch space $B_0$. For the case $p_1>p_2>1$, the boundedness and compactness of $h_f$ from $L_a^{p_1}$ to $L_a^{p_2}$ are characterized by another Bergman space. The case when $p_1$ and $p_2$ equals to $1$ and the case of weighted Bergman spaces are also discussed.
\enddocument
リーマン面上の有理型関数の退化族は、その全空間の位相型は一般ファイバーの置換モノドロミーとブレードモノドロミーで決まるが、中心ファイバーの位相型は置換モノドロミーのみで決まる事を説明する。次に、退化族を局所化して円板の分岐被覆の退化族と見て、さらにそれを二重円板の境界に制限すると、3次元多様体が得られる。逆に、任意の3次元可符号コンパクト多様体はこのようにして位相的退化族から得られる。それ故、その基本群は退化族に対する計算法が適用できる。
Rieraによって例示された簡単な二次元複素多様体(小平曲面)を素材としてRiemann面の正則族におけるモノドロミーの分類およびその型判定について講演を行う。
Xを種数2以上のコンパクト リーマン面、Aut(X)をX上の双正則写像全体の作る群、GをAut(X)の部分群とする。このとき組(X,G)に次の同値関係を定義する:2つの組(X,G),(X',G')が位相同値であるとは向きを保つ同相写像f:X--->X'および群同型写像h:G--->G'が存在してh(g)○f=f○gがGのすべての元gに対して成り立つことをいう。
本講演ではXの種数が4の場合の組(X,G)の位相同値による分類およびその証明について述べる。
平面領域について有界連続函数を境界値とする(通常のLaplacianに関する)Dirichlet問題を考える。与えられた境界函数がH"older連続であれば、そのDirichlet解が境界の近傍においていつH"older連続になるかについて、いくつかの場合について具体的な評価付きで説明する。例えば次のような領域を扱う。
応用として、Green函数の境界における連続性についても言及する。なお、証明には(局所)調和測度の評価を用いるので、非常に初等的な議論しか必要ない。また、結果は実は局所的な結果から従う。
Jerison-KenigのNTA領域に対する境界Harnack原理は良く知られているが,これは領域の外部条件を用いたCarleson評価に依っている.ところが,Bass-Burdzyは確率論的方法により,外部条件無しで境界Harnack原理を示した.端的な領域はJohn領域である.この講演では解析的方法により,John領域を含むより一般の領域で境界Harnack原理を示す.さらに,一様領域では一様な境界Harnack原理が成り立ち,Martin境界が位相境界と一致することを見る.今回は技術的な側面,「容量的幅」を用いた,調和測度の評価,Green関数との比較について述べたい.
平面領域 D が擬等角写像によって擬円板にうつるとき, D の部分領域となっている擬円板もやはり擬円板にうつる(Fernandez-Heininen-Martio 1989). この種の性質はsubinvariance principle と呼ばれている.
ここでは領域上の立方体のなす空間上の鎖長距離の応用として, ヘルダー領域に対しても擬円板同様やはり subinvariance principle の成立することを示す.
First we talk about a number of characterizations of convex subregions $\Omega$ of the complex plane in terms of the density $\lambda_\Omega(w)$ of the hyperbolic metric $\lambda_\Omega (w)|dw|$ for $\Omega$. We show analogous characterizations for spherically convex regions $\Omega$ on the Riemann sphere in terms of the spherical density $\mu_\Omega(w) = (1+|w|^2)\lambda_\Omega(w)$ of the hyperbolic metric. Also, we discusshyperbolically convex regions $\Omega$ in the unit disk of the complex plane.
有限生成クライン群の列|が代数的にあるクライン群に収束しているとき, 対応する極限集合のハウスドルフ次元の収束についてはいくつかの結果があり, 一般には連続性は成り立たない.通常は代数的収束が幾何学的収束にもなっている
(強収束)ような状況で連続性が証明されているのであるが, この講演ではそれを一般化し,クライン群の列が代数的収束していて, かつその極限集合の列がハウスドルフ次元1以上の
ある閉集合 L(代数的極限の極限集合と必ずしも一致しない) にハウスドルフ収束しているならば,極限集合のハウスドルフ次元は L のハウスドルフ次元に収束することを証明する.
証明のために使う道具は,上でも述べた幾何学的有限なクライン群への強収束のもと での ハウスドルフ次元の連続性(McMullen 等)に加えて,幾何学的有限でない場合に
拡張するために,解析的有限なクライン群の極限集合のハウスドルフ次元に関する Bishop-Jones の結果と,新しく幾何学的極限の解析的有限性を主張する結果である.